著者まえがき



 2017年は宗教改革500年の記念の年でした。個人が聖書を所有することなど想像もできなかった時代を思うと、この恩恵を享受しない手はありません。
 新約の、特に福音書は、イエス・キリストの言動のすごさに圧倒されながらグイグイ読んでいけますが、旧約はそうはいきません。サラサラ読んで「なるほど」と思うにはハードルが高すぎるのです。
 旧約を集中的に読んでみると、自分の中で固まってくるものがありました。二度、三度と読み込み、これまで感じてきた疑問について思案し、知り得た知識を総動員して仮説を立てることにより、自分なりに少し読み解けた気がしています。
 この作品は、解説書ではなく物語として書くことにしました。フィクションとして楽しんでください。学術書なら一つでも事実に反することがあれば価値を失いますが、フィクションは事実と事実の間にある間隙を跳び越えることができます。フィクションとは時をフライングする方法だからです。当たらずと言えども遠からず、このようなことが絶対になかったとは誰も言えません。本の中の本(THE BOOK OF BOOKS)旧約聖書の成立の物語です。


著者:日本基督教団福島教会員、日本基督教団中渋谷教会客員








 




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